連載コラム

2017/2/24FREE

タイプ別にみた妖怪図鑑

経済万華鏡

浜矩子

 皆さんは、次の面々をどう思われますか? ドナルド・トランプ米大統領。フランスの国民戦線のマリーヌ・ルペン党首。オランダの自由党を率いるヘルト・ウィルダース党首。ドイツの極右政党、「ドイツのための選択肢」のフラウケ・ペトリ党首。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。中国の習近平国家主席。そして日本の安倍晋三首相。

 こうして並べてみると、まるで、グローバル時代の妖怪図鑑みたいですね。今は、妖怪万華鏡時代。そんな風に思えてきます。イミダスの経済万華鏡はグローバル時代を読み解くための大切なツールです。ところが、妖怪万華鏡の方は、それを一振りするたびに、妖怪の数が増えてゆく。それぞれの妖怪の舞いが怪しさを増す。怖いことです。
 これらの妖怪たちに共通する特性は、何でしょう。
 それは国粋主義です。いずれも、強い国家への執着が物凄い。その意味では、そっくりさんたちです。ですが、違いもあります。妖怪たちの間に存在する違いを見極める。これも、とても重要な作業だと思います。

 国粋主義妖怪たちは、ざっくり言って二つのグループに分けることが出来ると思います。その仕分け基準は、内向きか外向きかということです。言い換えれば、引きこもり型なのか、出たがり屋型なのかです。
 引きこもり型の筆頭に挙げるべきなのが、トランプ米大統領でしょう。彼は「アメリカファースト」を掲げていますよね。この人の視線は、あくまでも内向きです。アメリカは、もはや、世界に出ていかない。世界の面倒なんか見ない。世界からも、アメリカにあまり入ってくるな。これが、トランプさんの基本姿勢です。とっても内向きですよね。アメリカという殻の中に、徹底的に引きこもろうとしています。
 実は、多くの妖怪たちが引きこもり型だと言えるでしょう。自国の周りに壁を張り巡らす。要塞をつくって、その中に立てこもる。よそ者は排除する。マリーヌ・ルペンを始めとするヨーロッパの妖怪たちも、やっぱり、このタイプです。フィリピンのドゥテルテさんも、この仲間に入れていいでしょう。

 それに対して、出たがり屋型が、安倍・習・プーチンの妖怪トリオだと思います。
 彼らからは、勢力拡大を志向する鼻息の荒さがむんむんと伝わってきます。大日本帝国。中華帝国、ロシア帝国。外に向かって、勢力圏を拡張していきたい。この願望が、この妖怪トリオを駆り立てている。そのように見えます。こっちの方が、引きこもり型のグループよりも、明らかにタチが悪いと思います。

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同志社大学大学院ビジネス研究科教授

浜矩子

1952年生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長等を経て、現在に至る。『グローバル恐慌』『スラム化する日本経済』『ユニクロ型デフレと国家破産』『浜矩子の「新しい経済学」~グローバル市民主義の薦め~』など多数の著書がある。

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