連載コラム

2017/4/27FREE

母親に何でも話せる子は性被害に遭わない?

仁藤夢乃“ここがおかしい”第16回

バカなフリして生きるのやめた

仁藤夢乃


自民党の勉強会で発言を



 先日、自民党の一億総活躍推進本部「女性活躍・子育て・幼児教育プロジェクトチーム」の勉強会に呼ばれ、JKビジネスなどに取り込まれる子どもたちの現状を話す機会をいただいた。これまで、JKビジネスの現状や中高生支援の必要性などについて、民進党、公明党、日本共産党、社民党、生活者ネットワークなどの議員たちとは、党の勉強会や、女子高校生サポートセンターColabo(コラボ)の研修への参加や視察などを通して意見交換してきたが、自民党の勉強会に呼んでいただいたのは初めてだった。
 ちょうど、政府が2017年4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止強化月間」としたタイミングでもあった。強化月間とは言っても、結局、JKビジネスで働く少女の一斉補導をしたことばかりがメディアでも報じられた。買う側の大人を減らすための対策や、子どものケアの視点を持った取り組みよりも、商品とされる子どもの取り締まりばかりを強化していることにがっかりはしているが、政府がようやく「問題だ!」と言い始めたことは前進だと思う。
 今回の勉強会では、特に「一時保護所の問題を伝えてほしい」と依頼されていたため、公的機関での不適切な対応や、大人への不信感などから保護を拒む子どもたちがいること、それはなぜかということを事例とともに話した。私の他には、婦人保護施設の施設長が知的障害のある方を含む女性支援の必要性を訴え、厚生労働省(以下、厚労省)による婦人保護施設の現状の報告、内閣府と警視庁によるAV強要・JKビジネスに関する報告があった。
 私からは、一時保護期間中は数週間から数カ月の間、学校に通わせないことが原則となっている場合がほとんどで学習権が守られていないこと、一時保護期間中は支援者や教員、弁護士などを含む外部への一切の連絡や面会をさせない場合が多く、施設の中で不当な扱いを受けた子どもたちが助けを求めたり、自分の意見を伝えたり声をあげられずにいること、私語の禁止や一日に使用できる紙の枚数制限といった過度の自由制限があること、その違反に対する「反省生活」として事実上の拘束や体罰があること、などを伝えた。
 一時保護所の問題については、いずれこの連載でも詳しく取り上げたい。

与党国会議員たちの反応



 私の報告を受けて、宮下一郎衆議院議員が「児童相談所や一時保護所での子どもへの対応の指針や法律での明記、そして運営体制はどうなっているのか?」と質問し、厚労省の担当者は「一時保護所での人権侵害はあってはならない、仁藤さんはそういう子どもの意見があることを伝えるために、相応の言葉を使ったのだと思いますが、職員が保護された子どもを傷つけるようなことはあってはなりません。しかし、職員が強めの言葉を使ったりすることもあるかもしれません。管理するためにそうせざるをえないという時もあるかもしれません。学校には、安全面から通うことが難しかったり、スマホは預かったりということはありますが、一時保護所に学校の先生に来ていただいて授業を受けられるようにしています。現役の先生はなかなか難しいので、教員のOBが教えています」などと答えた。
 それに対して宮下議員は「人ごとに聞こえる。第三者機関を入れて法にのっとった、子どもの権利を考えた運営ができているか調査したり、体制を見直したりすべきだ」と指摘し、厚労省は現在、子どもの権利擁護の視点から保護のあり方を検討中であると答えた。
 松川るい参議院議員からは、「こういう(JKビジネスやAV出演強要などの)問題が言われ始めたのは最近だが、増えているのか?」と質問された。そこで昔からあった問題が顕在化し始めているのだと実感していること(Colaboには大人の女性たちから「自分もそうだった」と連絡をもらうことがよくあり、寄付などで活動を支えてくれている元当事者の方も多い)、形態が変わり続けていること、「JK」や「援助交際」などと称して子どもの性の商品化を許してきた社会の見直し、買う側への視点や具体的な性教育の必要性などを話した。
「JK」と呼ばれる女子高生が性的価値の高い商品とされるだけでなく、今や「JC」や「JS」などと称してより幼い子どもも消費されていること、性教育や人権教育、被害に遭わない/加害者にならないための教育の必要性についても他の女性支援者が伝えた。
 今回の勉強会に招いてくれた、あべ俊子衆議院議員は「警察発表には見えない結果が隠れているはずだ。警察のアンケート結果だけ見ると、遊ぶ金欲しさにやっているのか、というふうに見えてしまうが違う。家庭や学校に満足している子もやっているのはなぜか、そのあたりのことを見ていく必要がある」と発言。他にも、「そもそもJKビジネスのように子どもがお金儲けの道具になるようなこと、小児性愛者のやりたい放題の状況ができてしまっていることが問題だ」と意見する男性議員や、「そもそもJKビジネスなどの問題にどうしてこれまで取り組んでこなかったのか。今、協議しているなどと言うだけでなく、いつやるのか、はっきりしてほしい」などと役人を問い詰める議員もいた。
 役人に対して、「こんなにも上から目線なのか」と感じられる態度をとる議員もいて、「いやいや与党のみなさんもこの問題をこれまでないことのように扱ってきたじゃないですか、今も関心がなさそうにしている議員がいるし、まずは寝ている人を起こしたらどうですか?」とも思いつつ、多くの議員は関心を持ち、この問題に取り組んでいきたいという想いを示してくれたので、来てよかったと感じていた。

おりものの臭いを母親に相談?



 しかしそんな中で展開された、医師でもある赤枝恒雄衆議院議員の持論に私はドン引きしてしまった。
「僕は1990年代から渋谷で街角相談室をやってきましたけど、最近はジェンダーフリーということが言われていて、男の子は兜で女の子は雛祭りなのはよくないという人がいる。おかしい。今の子どもたちに具体的な性教育が必要だという人もいるが、女性のすごさを伝えることが大切だ。男の子たちが女の子たちのことを下に見ている。男は女から生まれたんだよ、ということを伝える。それを知れば、小学生の男の子はポカンとするんですよ。女の子はすごい。そういうことを小学生の時から教えることが大切です。
 女の子も清潔と不潔を知らない。

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社会活動家

仁藤夢乃

1989年、東京都生まれ。中学時代から東京・渋谷で家出生活を繰り返し、高校を2年で中退。後に恩師となる予備校講師より知遇を得て、農業・国際貢献活動に従事。2009年、明治学院大学社会学部に進学。在学中から高校生に目を向けた活動を始め、卒業後の11年に一般社団法人 女子高校生サポートセンターColaboを設立、代表理事をつとめる。第30期東京都青少年問題協議会委員。著書に『難民高校生』(英治出版)、『女子高生の裏社会』(光文社新書)。

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