連載コラム

2017/2/7FREE

第15回 海原純子さん(心療内科医)

猫が幸せそうにしていると、一緒にいる人も幸せな気分になれるんです。

加藤由子のガチ猫談義

海原純子/加藤由子

 心療内科医として数々の著書を出してきた海原純子さんが、なんと猫本を出しました。でも、ご自分の猫の話ではありません。書名は『こんなふうに生きればいいにゃん』。副題は「心療内科医がネコから教わった生き方のコツ」で、“猫のように嫌なことはすぐに忘れ、無駄な労力を使わず、自分の感性を何よりも大切にして生きればいい”が本のテーマです。
 読みながら思いました。私は気づかないままに猫のように生きていました。猫好きたちは皆、同じではないでしょうか。猫好きに心療内科医は必要がないのかも!?



裏目に出た2匹作戦



海原 加藤さんの本は、以前から読ませていただいています。特に『雨の日のネコはとことん眠い』(PHP研究所、1990年刊)は大好きでした。だから、今日は楽しみにしていたんですよ。
加藤 ありがとうございます。光栄です。それでは、まず海原さんちの猫の紹介からお願いします。
海原 このコは「フー」ちゃん。10歳です。もう1匹、15歳の「ミー」ちゃんがいるんですが、とても人見知りで。
加藤 2匹の相性はどうですか?
海原 ダメです。私が出張がちなので、もう1匹いたほうが仲良く留守番できるんじゃないかと思ったんですが、ぜんぜん合わなくて(笑)。どっちもメスなんですが、性格がちがうんです。ミーはどちらかというと、ひとりでじっと空を見ているのが好きなタイプ。フーは遊ぶのが大好きで、初めの頃は遊ぼうってミーの側に近づいては怒られてた。いつもフーッて言われてたからフーちゃんって名前になったんですよ。
加藤 2匹作戦が裏目に出ましたか(笑)。ミーちゃんの人見知りは、元からですか?
海原 フーが来てから特に、かな。その前はじゃれたり遊んだりしていたんですよ。ミーは頭が良くて、人の気持ちが繊細にわかるんです。私が仕事で大変なときなどは察して、なんとなく側にいてくれる。フーはぼーっとしてて、まったくそういうのはないですね。
加藤 ミーちゃんはいつもどこにいるんですか?
海原 隣の部屋です。ふたりが顔を合わせると、追いかけ合って部屋中すごいことになっちゃうんで、動線を完全に分けて出会わないようにしています。お互い一歩も譲らずに攻めていく感じですから。
加藤 ミーちゃんはずっとひとりで過ごしているんですか?
海原 ひとりが好きなんですよ。でも、夜に私と一緒に寝るのはミーで、フーはこの辺で寝てます。
加藤 フーちゃん、お腹のところがたぷんとたるんでいるのが、アメショー(アメリカン・ショートヘアー)っぽくて、かわいいですね。でもこのコ、足が太いですね。あ、レディに向かってごめんね(笑)。
海原 確かに足が太くて短いんです。態度もデカイ。女のコっぽくないんです(笑)。



かなわぬ猫の恋の顛末



海原 ミーの前には「ダダ」というアメショーがいました。ダダはとても性格が良かったので、アメショーはみんなこうかと思ったら、ミーはちょっと気むずかし屋さんでした。
加藤 オスは飼ったことないんですか?
海原 ダダはオスでした。性格は良かったけど、壁にオシッコをひっかけるマーキングがひどかった。去勢手術をしたけど時期が遅かったみたいで、オトナになっても治りませんでした。部屋中がオシッコだらけになって、引っ越すときに賠償金がものすごくかかったので、それ以降はメスです。
加藤 マーキングの原因、何かあったんじゃないんですかね。
海原 ちょっと思い当たるのは、ベランダ伝いに隣の家の猫がのぞきに来てたんです。
加藤 その猫もオスだったんじゃないですか?
海原 オスでした。
加藤 原因はそれですよ! 隣のオスが来るから、何とか自分のなわばりを守らなくちゃって思ってマーキングしてたんですよ。
海原 そうだったんですかね。お隣の猫はダダがメスだと思っていたみたいで、夜這いに来てたんです。で、その猫が亡くなったときにお隣さんからキャットフードをたくさんいただいたので、お悔やみを言いに行ったら、飼い主さんに「お宅の猫ちゃんのことが大好きで、初めての恋でした」って言われたんです。腎臓が悪かったんだけど、無理をして毎晩、会いに行っていたんだと。だから、うちもオスだって言えなくなっちゃって(笑)。
加藤 アハハハハハ。もしその人がこの記事を読んだら、「ええーっ! あの猫、オスだったの!!」ってショックを受けるでしょうね(笑)。
海原 いやいや、もうずいぶん前のお話ですから(笑)。



几帳面な群れ生活者には猫マインドが必要



加藤 海原さんが書かれた『こんなふうに生きればいいにゃん』(海竜社、2016年刊)を読ませていただきました。改めて思ったのは、こういう自己啓発本って猫だから成立するんですよね。「犬に学ぼう」っていうのはあんまりないような……。
海原 犬って号令で人の言うことをきくけれど、猫ってそうじゃないところがいいんですよね。私が猫といてほっとするのは、猫が我慢していないからです。犬だと、もしかすると私が主人だから我慢して言うこときいているんじゃないかって、こっちが気を遣って疲れてしまうところがある。でも、猫はストレートで正直だから、安心できるんです。よく「お前は会社の犬だ」とか「○○は■■のポチだ」みたいな言い方をすることがあるけれど、「○○は■■のタマだ」とは言わないでしょ。

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心療内科医

海原純子

医学博士、産業医。1952年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。2008~10年にハーバード大学客員研究員を経て、現在は日本医科大学特任教授。心療内科医として、全国で講演活動も行う。読売新聞の「人生案内」回答者、毎日新聞(日曜版)」にて「心のサプリ」を連載中。主な著書に『こんなふうに生きればいいにゃん -心療内科医がネコから教わった生き方のコツ』(海竜社、2016年)、『男はなぜこんなに苦しいのか』(朝日新聞出版、2016年)、『幸福力 幸せを生み出す方法』(潮出版社、2013年)、『困難な時代の心のサプリ』(毎日新聞社、2011年)などがある。

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動物ライター

加藤由子

動物ライター、エッセイスト。「ヒトと動物の関係学会」監事。1949年生まれ。日本女子大学卒。大学では生物学(動物行動学)を専攻。移動動物園などを経てフリーライターになる。動物、特にネコの生態や行動学に精通し、ネコに関する書籍などを多数執筆している。ネコ関連の著書に、『雨の日のネコはとことん眠い』『ぬき足、さし足、にゃんこ足』(共にPHP研究所)、『ネコを長生きさせる50の秘訣』(サイエンス・アイ新書)、『猫の気持ちを聞いてごらん』(幻冬舎文庫)、『猫式生活のすゝめ』(誠文堂新光社)、『猫とさいごの日まで幸せにくらす本』(大泉書店)、『猫の気持ちは見た目で9割わかる!』(大和書房)ほか多数。

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