連載コラム

2017/4/25FREE

第17回 内藤剛志さん(俳優)

猫との暮らしで必要なのは「想像力」と「民主主義」。相手を思いやり、何を考えているのかを考えるのが楽しい。

加藤由子のガチ猫談義

内藤剛志/加藤由子

 刑事ドラマ大好き人間である私、内藤剛志さんが出演するドラマは昼間の再放送を含めてすべて、と言っていいほど見ています。特に4月からシーズン2がスタートした木曜ミステリー『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系・毎週木曜20時〜)ははずせません。理由は、内藤剛志さん扮する捜査一課長・大岩純一宅で猫を飼っているからです。職場で「ご遺族の無念を晴らしホシをあげるっ!」と真一文字に口を結ぶ毅然とした捜査一課長が、帰宅した途端、「ビビ、どうした?」と口元をほころばせて猫を抱き上げる、そのギャップがなんともいいのです。ビビと内藤さんの実態を探るべく、撮影現場にお邪魔しました。



撮影現場は猫のためにも心を一つに



加藤 ドラマ『警視庁・捜査一課長』、前シーズンから見ています。
内藤 ありがとうございます。
加藤 先ほど、撮影現場を少し見学させていただきましたが、ビビちゃんは堂々としていましたね。内藤さんにもずいぶん懐いているように見えました。
内藤 ビビ役の猫の本名は「黒豆」といって、僕のマネージャーでもある所属事務所の社長が飼っている猫なんです。子猫の頃からよく知っていて、今6歳です。事務所には、6匹猫がいて、事務員の数より多い(笑)。僕も事務所の猫たちとはみんな顔見知りです。
加藤 そうなんですね。その中で、黒豆ちゃんが選ばれた理由って何かあるんですかね?
内藤 大岩のキャラクターに合ったんでしょうね。極端に言えば、ものすごくかわいらしい女の子っぽいキャラクターの猫だったら、刑事の大岩とは合わないと思うんです。
加藤 あのどっしりしてちょっと無骨な感じがいいんですよね。
内藤 そうですね。大柄ですし、あとは色とか柄とか。何より撮影現場はいろいろと大変ですから、まったく知らない猫よりも僕に懐いていることが大きいかもしれません。
加藤 あのドラマに猫を登場させようというのはどういう経緯だったんですか?
内藤 最初から台本に書いてありましたね。当初、2時間ドラマで始まって連続ドラマとしてシリーズ化されましたが、ビビは初回から登場しています。僕のアイデアではないです。
加藤 猫がいる撮影現場ってどんな感じですか? 見学させていただいて、ビビちゃんのシーンが今日の最後の撮影でしたが、OKが出たときにスタッフさんがドッと沸いたのが印象的でした。通常のドラマ現場とは違う盛り上がりがありそうですね。
内藤 やっぱり和みますね。猫が思いもしない表現をしてくれることは、僕たちにとって何よりもうれしいことなんです。猫は台本に書いてある通りの動きにはなかなかならないですから、それがうまくはまったときの喜びはありますね。それに僕たちの言葉が猫にはわからない分、黒豆に対してみんながものすごく気を遣う。これが大事だと思うんです。猫に負担はないか、危険はないか、ストレスがかかりすぎていないかとか。お互い不幸なことにならないように、みんなが心を一つにして取り組んでいます。
加藤 脱走の危険とかもありますしね。猫を撮影するときに部屋のセットのふすまを閉めていたので、気を配っていることはわかりました。
内藤 みんなが心を合わせて撮影に取り組むという点でも、猫がいる現場っていいなと思いますね。
加藤 犬だったら指示に従わせることができますよね。でも猫は号令がきかないから犬とはまた違いますよね。
内藤 違いますね〜。猫にも芝居というか、ストーリーに関わるアクションが求められることもあるんです。たとえば、向こうからビビが歩いてきて、何か物を倒したことで事件解決のヒントをひらめくとか。ビビ役の黒豆にとってはそれだけ要求される現場なので、そこはストレスにならないようにみんなで気を遣い、ケアしながら取り組んでいます。
加藤 今日も最後に「ニャ〜」ってちゃんと鳴いてばっちり決めてて、すごいと思いました。
内藤 まあ偶然もあるんでしょうけどね(笑)。黒豆はけっこう撮影慣れしているので、それがいいように機能しているとは思います。黒豆ががんばってるんだから、人間がしんどいとか言ってられないという思いで、撮影しています。



猫は「ペット」ではなくともに暮らす「生きもの」



加藤 私、ドラマを見ていて、絶対に内藤さんは猫を飼っているんだろうな、と思っていました。抱き方とか猫の扱いがとても自然だし、上手だなと。
内藤 ありがとうございます。自宅にも猫が2匹います。ソマリの「チャイ」とロシアンブルーの「ニュイ」です。
加藤 その猫種にした理由は何かあるんですか?
内藤 前に飼っていた猫がアビシニアンだったんです。アビシニアンの長毛種がソマリですから、そのつながりで。ロシアンブルーは本などで写真を見て、興味があったんです。僕じゃなくて家内と娘が決めたものですが、ブリーダーさんとのよい出会いもありましたね。
加藤 2匹は同じ時期に来たのですか?
内藤 そうです。2匹とも今年で9歳になります。
加藤 子どもの頃から内藤さんは猫を飼っていらしたんですか?
内藤 僕は一人っ子なので、寂しくないようにと思ったのか、犬か猫がいつもいました。両親も当たり前のように動物がそばにいる環境で過ごしてきたようなので、僕のこともそういうふうに育てたかったのかもしれません。だから、人間以外の動物が家に一緒にいることは当たり前で自然なんです。

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俳優

内藤剛志

1955年大阪府生まれ。文学座研究所を経て、1980年に映画『ヒポクラテスたち』でデビュー。その後、テレビドラマ、映画、司会、バラエティーと幅広く活躍。現在、情報番組『スタイルプラス』(東海テレビ、日曜12時~)でメインMCを務める。主演の木曜ミステリー『警視庁・捜査一課長』(テレビ朝日系、木曜20時~)が放映中。

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動物ライター

加藤由子

動物ライター、エッセイスト。「ヒトと動物の関係学会」監事。1949年生まれ。日本女子大学卒。大学では生物学(動物行動学)を専攻。移動動物園などを経てフリーライターになる。動物、特にネコの生態や行動学に精通し、ネコに関する書籍などを多数執筆している。ネコ関連の著書に、『雨の日のネコはとことん眠い』『ぬき足、さし足、にゃんこ足』(共にPHP研究所)、『ネコを長生きさせる50の秘訣』(サイエンス・アイ新書)、『猫の気持ちを聞いてごらん』(幻冬舎文庫)、『猫式生活のすゝめ』(誠文堂新光社)、『猫とさいごの日まで幸せにくらす本』(大泉書店)、『猫の気持ちは見た目で9割わかる!』(大和書房)ほか多数。

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