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2017/8/18FREE

東京五輪における「無償ボランティア」マインドコントロールを許すな

「ボランティア=無償=尊い」という思い込みの罠

時事オピニオン

本間龍

 西山教授が批判したとおり、組織委は語学能力を重視していないどころではない。自らは高給を貰いながら、あらゆる人々の能力や善意を利用し、タダで使おうとしているのだ。
 ちなみに16年のリオ五輪では、無償と有償ボランティアの両方があったが、過酷な待遇に耐えかねて多くの無償ボランティアが職場を放棄し、現場が混乱したことが報道された。


 東京五輪で9万人のボランティアに対し、1日1万円の日当を20日間(オリンピック・パラリンピック各10日間)支払ったとしても、その費用はわずか180億円である。4000億円近い協賛金からすれば微々たる金額であり、払えない額ではない。というよりも、酷暑の中での過酷な作業に対する正当な対価として、絶対に払うべき金額なのだ。

 多額の税金を投入する東京オリンピックがすでに準公益事業であることは誰の目にも明らかだ。ということは、その予算内容は全て国民に公開されるべきであり、現在のように組織委がスポンサーから一体いくら集めているのか不透明な状況は許されない。組織委は直ちにその収入の詳細を明らかにし、同時にボランティアは全員有償とするべきである。

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作家

本間龍

1962年、東京都生まれ。広告代理店博報堂で18年間営業を担当する。2006年退職後、在職中に発生した損金補てんにまつわる詐欺容疑で逮捕・起訴、1年間の服役を通じて刑務所のシステムや司法行政に疑問を持つ。その体験を綴った『「懲役」を知っていますか?』(09年、学習研究社)を上梓。東京電力福島第一原発事故後は、『電通と原発報道』(12年、亜紀書房)、『原発プロパガンダ』(16年、岩波書店)などで原発と広告の関わりを追及。原発プロパガンダとメディアコントロールを研究している。最新刊は「電通 巨大利権」(17年9月、サイゾー)、「メディアに支配される憲法改正国民投票」(17年9月、岩波書店)。

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