[主催]
金沢市
[第1回授賞年]
1973年
[解説]
精緻華麗な文体で妖美な幻想世界を紡いだ金沢生まれの文豪・泉鏡花(1873~1939年)の生誕100年を機に、金沢市がその業績を顕彰して創設した文学賞。もう一つ、市が主催する公募の「泉鏡花記念金沢市民文学賞」と併せて「鏡花文学賞」と呼ばれている。前年8月から当年7月末までの1年間に刊行された単行本の中から「泉鏡花の文学世界に通ずるロマンの薫り高い」文芸作品に贈られる。選考は、市内文学関係者などから成る同賞推薦委員と、県内の文学関係者および全国の作家、文芸評論家などから構成される同賞推薦人によって推薦された候補作の中から、選考委員の審議を経て選ばれている。第1回(73年)受賞は半村良「産霊山秘録」と森内俊雄「翔ぶ影」で、以後、中井英夫「悪夢の骨牌」(第2回、74年)、森茉莉「甘い蜜の部屋」(第3回、75年)、津島佑子「草の臥所」(第5回、77年)、眉村卓「消滅の光輪」(第7回、79年)、澁澤龍彦「唐草物語」、筒井康隆「虚人たち」(第9回、81年)、倉橋由美子「アマノン国往還記」(第15回、87年)、京極夏彦「嗤う伊右衛門」(第25回、97年)、丸谷才一「輝く日の宮」、桐野夏生「グロテスク」(第31回、2003年)と賞の名にふさわしい作品が続いているが、例外的に野坂昭如「『文壇』およびそれに至る文業」(第30回、2002年)のように、著者の業績に贈られたり、種村季弘「種村季弘のネオ・ラビリントス 『幻想のエロス』ほか」(第27回、1999年)のように、評論を中心とする著作集の中の1冊に贈られることもある。
[ジャンル]
小説、戯曲など
[募集形態]
非公募
[結果発表]
例年、10月ごろの発表。
[賞品賞金]
正賞の「八稜鏡」と、副賞として賞金100万円。
[選考委員]
五木寛之(作家)、村田喜代子(作家)、村松友視(作家)、金井美恵子(作家)、嵐山光三郎(作家)
[最近の結果]
川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」(第44回、2016年)、長野まゆみ「冥途あり」、篠原勝之「骨風」(第43回、2015年)、中島京子「妻が椎茸だったころ」、小池昌代「たまもの」(第42回、2014年)、磯崎憲一郎「往古来今」(第41回、2013年)、角田光代「かなたの子」(第40回、2012年)、瀬戸内寂聴「風景」、夢枕獏「大江戸釣客伝」(第39回、2011年)、篠田正浩「河原者ノススメ」(第38回、2010年)
[主催者HP]
http://www4.city.kanazawa.lg.jp/11020/bungaku/kyouka/index.html
(2016年10月時点)