[主催]
日本文学振興会
[第1回授賞年]
1970年
[解説]
戦前戦後を通じて活躍した辛辣、毒舌評論で知られるジャーナリスト・大宅壮一(1900~70年)の半世紀にわたるマスコミ活動を記念し、大宅自身の発案で死の直前に創設。ノンフィクション分野における芥川賞・直木賞を目指すものとされる。設立以来書籍及び枚数制限のない応募原稿を対象としてきたが、2014年からは書籍部門は既刊のみとなり、新たに雑誌部門が創設された。書籍部門の対象ジャンルは、ルポルタージュ、内幕もの、旅行記、伝記、戦記、ドキュメンタリーなど、大宅が手がけたノンフィクション全般。前年1月から12月までの1年間に発表された単行本を対象としている。雑誌部門は3月1日から翌年2月末日に国内の定期刊行物(ウェブマガジンは除く)に発表された署名記事が対象で、スクープ記事も審査対象になる。受賞作は「文藝春秋」6月号に発表され、授賞式は6月中旬に松本清張賞と合同で行われている。第1回(1970年)受賞は、尾川正二の「極限のなかの人間」と石牟礼道子の「苦海浄土」だったが、石牟礼は辞退している。その後、イザヤ・ベンダサン「日本人とユダヤ人」(第2回、71年)、 鈴木俊子「誰も書かなかったソ連」(同)、柳田邦男「マッハの恐怖」(第3回、72年)、鈴木明「『南京大虐殺』のまぼろし」(第4回、73年)、山崎朋子「サンダカン八番娼館」(同)と続き、ノンフィクション全盛期をつくった。第45回に新設された雑誌部門は、自称全聾(ぜんろう)の作曲者偽装問題をスクープした「週刊文春」の記事が受賞第1号となった。
[ジャンル]
ノンフィクション
[募集形態]
公募:書籍/雑誌の署名記事
[結果発表]
例年、4月の発表。
[賞品賞金]
正賞として賞金100万円と、副賞として日本航空による国際線往復航空券。
[選考委員]
書籍部門が梯久美子(作家)、片山杜秀(思想史学者)、佐藤優(作家)、雑誌部門が奥野修司(ジャーナリスト)、後藤正治(作家)、エリック・タルマジ(AP通信社東京編集長)
[最近の結果]
書籍部門:堀川惠子「原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年」、雑誌部門:児玉博「堤清二 『最後の肉声』」(第47回、2016年)、書籍部門:須田桃子「捏造(ねつぞう)の科学者 STAP細胞事件」、雑誌部門:安田浩一「ルポ 外国人『隷属』労働者」(第46回、2015年)、書籍部門:佐々木実「市場と権力」、雑誌部門:神山典士と週刊文春取材班「全聾の作曲家はペテン師だった!ゴーストライター懺悔実名告白」(第45回、2014年)、船橋洋一「カウントダウン・メルトダウン(上・下)」(第44回、2013年)、増田俊也「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」、森健と被災地の子どもたち「つなみ 被災地のこども80人の作文集」/「『つなみ』の子どもたち」(第43回、2012年)、角幡唯介「空白の五マイル」、国分拓「ヤノマミ」(第42回、2011年)、上原善広「日本の路地を旅する」、川口有美子「逝かない身体」(第41回、2010年)
[主催者HP]
http://www.bunshun.co.jp/award/index.htm
(2016年10月時点)