[主催]
筑摩書房、三鷹市
[第1回授賞年]
1965年
[解説]
無頼派の代表的作家で自虐、反俗的作風と破滅的生き方が今も多くの読者を惹きつける太宰治(1909~48年)の名を冠し、1964年に筑摩書房が創設した小説対象の新人賞。その後、78年に筑摩書房が業績不振により会社更生法の適用を受けたため第14回(78年)で中断。20年のブランクの後、三鷹ゆかりの文人たちの文化の薫りを継承したいと考えていた三鷹市(東京都)が、三鷹になじみの深い太宰治の没後50年を機に筑摩書房に呼びかけ、99年より共同主催の形で復活した。未発表の小説を募集(ただし募集年中に同人誌等の非商業出版で発表されたものは可)。1人2編まで応募できる。第1回(65年)は該当作なし。第2回(66年)は吉村昭が「星への旅」で受賞。吉村は同年「新潮」に「戦艦武蔵」が一挙掲載されてデビューした。第3回(67年)は一色次郎「青幻記」。それまでも直木賞の候補に2度挙がっていたが、この受賞で本格デビューとなった。同じ第3回で、金井美恵子「愛の生活」は候補作止まりだったが、選考委員の石川淳に認められてデビューにつながった。ほかには、宮尾登美子 が「櫂」で第9回(73年)、宮本輝 が「泥の河」で第13回(77年)に受賞している。
[ジャンル]
小説:未発表作品、ただし募集年中に非商業出版で発表されたものは可。
[募集形態]
公募:400字詰50~300枚、活字・ワープロ原稿(40字×30行)は400字詰換算枚数を明記。
[結果発表]
例年、12月10日の締め切りで、翌年5月の発表。
[賞品賞金]
正賞の記念品と、副賞として賞金100万円。
[選考委員]
加藤典洋(文芸評論家)、荒川洋治(詩人)、奥泉光(作家)、中島京子(作家)
[最近の結果]
夜釣十六「楽園」(第32回、2016年)、伊藤朱里「変わらざる喜び」(第31回、2015年)、井鯉こま「コンとアンジ」(第30回、2014年)、KSイワキ「さようなら、オレンジ」(第29回、2013年)、隼見果奈「うつぶし」(第28回、2012年)、由井鮎彦「会えなかった人」(第27回、2011年)、今村夏子「あたらしい娘」(第26回、2010年)
[主催者HP]
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/dazai/
(2016年10月時点)