[主催]
日本推理作家協会
[第1回授賞年]
1948年
[解説]
日本の推理小説界に大きな足跡を残した作家・江戸川乱歩(1894~1965年)が、訪ねてくる関係者のために一堂に会せる機会をつくろうとして始めた親睦会が土曜会で、その第1回は1946年の6月だった。以後、月1回の割合で開かれていたが、翌47年、これをきちんとした組織にしようという横溝正史(1902~81年)や水谷準(1904~2001年)らの呼びかけにより発足したのが探偵作家クラブ(54年より日本探偵作家クラブ)で、初代会長には乱歩が就任した。さらに48年、その年発表されたミステリの中で最も優れた作品を顕彰する「探偵作家クラブ賞」(54年より「日本探偵作家クラブ賞」)が創設され、第1回は長編部門が横溝正史の「本陣殺人事件」、短編部門が木々高太郎の「新月」、新人賞は香山滋の「海鰻荘奇談」が受賞した。63年にクラブが社団法人化されて日本推理作家協会と改称されたため、それにならって賞名も「日本推理作家協会賞」となった。「長編及び連作短編集部門」「短編部門」「評論その他の部門」の三つに分かれ、前年1年間に発表、刊行された作品を対象に選ばれている。同じ日本推理作家協会主催の公募新人賞である「江戸川乱歩賞」と並んで、推理小説部門の最も権威ある文学賞の一つとされる。
[ジャンル]
推理小説、評論随筆
[募集形態]
非公募
[結果発表]
例年、4月の発表。
[賞品賞金]
正賞として腕時計と、副賞として賞金50万円。
[選考委員]
長編及び連作短編集部門(2016年):あさのあつこ(作家)、逢坂剛(作家)、大沢在昌(作家)、黒川博行(作家)、道尾秀介(作家)、短編部門/評論その他の部門(2016年):井上夢人(作家)、北方謙三(作家)、真保裕一(作家)、田中芳樹(作家)、山前譲(推理小説研究家)
[最近の結果]
長編及び連作短編集部門:柚月裕子「孤狼の血」、短編部門:大石直紀「おばあちゃんといっしょ」、永嶋恵美「ババ抜き」、評論その他の部門:門井慶喜「マジカル・ヒストリー・ツアー」(第69回、2016年)、長編及び連作短編集部門:月村了衛「土漠の花」、早見和真「イノセント・デイズ」、短編部門:該当作無し、評論その他の部門:喜国雅彦「本棚探偵最後の挨拶」、霜月蒼「アガサ・クリスティー完全攻略」(第68回、2015年)、長編及び連作短編集部門:恒川光太郎「金色機械」、短編部門:該当作無し、評論その他の部門:清水潔「殺人犯はそこにいる」、谷口基「変格探偵小説入門」(第67回、2014年)、長編及び連作短編集部門:山田宗樹「百年法」、短編部門:若竹七海「暗い越流」、評論その他の部門:諏訪部浩一「『マルタの鷹』講義」(第66回、2013年)、長編及び連作短編集部門:高野和明「ジェノサイド」、短編部門:湊かなえ「望郷、海の星」、評論その他の部門:横田順彌「近代日本奇想小説史 明治篇」(第65回、2012年)、長編及び連作短編集部門:麻耶雄嵩「隻眼の少女」、米澤穂信「折れた竜骨」、短編部門:深水黎一郎「人間の尊厳と八〇〇メートル」、評論その他の部門:東雅夫「遠野物語と怪談の時代」(第64回、2011年)、長編及び連作短編集部門:飴村行「粘膜蜥蜴」、貫井徳郎「乱反射」、短編部門:安東能明「随監」、評論その他の部門:小森健太朗「英文学の地下水脈」(第63回、2010年)
[主催者HP]
http://www.mystery.or.jp/
(2016年10月時点)