祭りや盆踊りが都会でもイベント化したこと、さまざまなパーティーシーンの広がりなどを背景に、若者たちの間にゆかたが大人気を呼んでいる。1990年も前年の50%増の伸びで、91年はさらに200%以上の伸びといわれるが、この数字が即、きものブームへつながるわけではない。このブームを支えているのは、ゆかたを和服としてではなく、ファッションアイテムとしてとらえている若い層で、本来のきものの客層とは別である。売れているのもファッションデザイナー(海外のデザイナーも含む)による多色使いのゆかたで、仕立て上がりのゆかたに帯や下駄など一式がコーディネートされていて、値段も3万円程度という気軽さがうけている。きものを着たことのない世代が、これをきっかけにきものに関心をもつようになるかどうか、和装業界はブームの行方が気になるところである。