今夜は、私のためにお忙しい中を山下取締役はじめ、中田部長ほかみなさんがたから、こんな盛大な会を催していただき、喜びにたえません。
早いもので、入社以来、いつのまにか30数年が経ってしまいました。長いようでもあり、短かったようにも思えます。手掛けた仕事もかず重なり、一つ一つ思い出すと、どの仕事にも懐かしい思い出がいっぱいです。
近年はよい部下にも恵まれ、続けざまに出した新企画商品のいずれもが好成績で、旭日昇天(きょくじつしょうてん)の勢いだねなどと、軽口をたたかれたこともありました。
このたびの退職に当たりましても、幸せなことに社からも、ぜひとどまるようにとの、温かいお言葉を再三再四(さいさんさいし)にわたってちょうだいし、じつは心も迷うばかりでしたが、定年にての退職は、10数年来の決意でありましたので、わがままを通させていただきました。社へのおわびとお礼をこの場をお借りしまして申し述べさせていただきます。
私の去った後も、元気いっぱいな諸氏のご活躍が大いに期待でき、なに一つ思い残すことはありません。
あえて申せば、最後に手掛けたみなさまご承知の企画ものが、実現にはもう一歩ということであります。市場調査の結果では、これもまず見込みの立つところまで来ているようですので、今一つがんばっていただき、みなさまによって有終之美(ゆうしゅうのび)を飾っていただけるならば、私へのこれに勝る贈りものはございません。
社ならびに、ご来席のみなさん、長い間ほんとうにお世話になりました。ますますのご発展を陰ながらお祈りしております。
ありがとうございました。