みなさん、入社おめでとうございます。
今夜はささやかですが、みなさんを歓迎する宴を、社長抜きで、かみしもを脱いで開きたいと思いますので、どうかくつろいだ気分で、存分に飲み、かつお食べになってください。
こういう会でのお決まりで、みなさんたちの先輩としてというより、姉貴、兄貴の代表として、ひと言、歓迎の言葉を述べさせていただきます。
こうしてみなさんのお顔を拝見していると、つくづくみなさんお若いなと思うのです。5年前、10年前の自分たちの姿を見るようで、心のうずく思いです。
サラリーマン、ビジネスマンになったとはいえ、おそらくみなさんには、まだそのほんとうの感覚はないのではないでしょうか。たとえば、営業部とはどんな仕事をするのだろうか、企画部は、人事部は、製作部は、具体的にいったいどんな仕事を1日しているのだろうか、きっと見当がつかないことだと思います。
それでいいのです。この会社は、そういう意味では、やさしくて親切なよい先輩ばかりですから、心配することはありません。仕事の手順などは少しずつ身につけていけばよいことです。
私たちがみなさんの多少の先輩として申し上げ、期待したいことは、常に創意工夫(そういくふう)の人であってほしいということです。ご承知のとおり、創意工夫には、限度というものがありません。この本来、際限もないものに立ち向かう人であってほしいという私たちの期待に、ぜひこたえてもらいたいと思います。
これから、みなさんお1人、お1人にその抱負をおうかがいすることになると思いますが、よくあるこうした席でのおざなりのあいさつではなく、難問を押しつけるようですが、創意の人、工夫の人であってください。そんな抱負を聞かせてください。
といっても、私は、なにもむずかしいことをみなさんにお願いしているのではありません。私は、みなさんの将来が前途洋洋(ぜんとようよう)だとか、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)だとか申しません。前途洋洋も順風満帆も、そうそうたやすいものではありません。そういう言葉によって、とかくぼやかされがちな面に警告を発したいだけです。
パラフレーズするならば、惰性で動く人、惰性で考える人にならないようにということでしょう。
あまりめんどうなことをいいますと、小うるさい女だと、みなさんに嫌われそうですから、このくらいでやめます。
では、大いにやりましょう。今夜は、2次会にでも、3次会にでもつきあいます。