岡崎孝一郎くん、南佳代さん、本日ここに鴛鴦之契(えんおうのちぎり)を結ばれましたこと、まことにおめでとうございます。
私は明星生命の東海支社長といたしまして、当支社の営業部2課長として勤務されている岡崎くんとは7年来のつきあいになります。また、南さんは岡崎くんの部下として、お働きになっておられます。
ひと口にいって、岡崎くんは、新婦の佳代さんもよくご存じのとおり、非常にきまじめな、近年まれにみる一徹なところのある青年です。上司としてはじつに信頼に足る頼もしい男ですが、一方、なかなかもってとぼけた才も兼ね備えたご仁でもあります。
じつは、新婦の佳代さんはごらんのように明眸皓歯(めいぼうこうし)、ものごしもやわらかく、魅力的な女性ですので、仕事を通じて見染められるような機会も1度ならずあったわけです。私のところへもお客さまから、どうだろうかというようなお話もありまして、私といたしましては、佳代さんの直接の上司である岡崎くんに、いくどか打診してみたのですが、これが、なんだかんだと言を左右いたしまして、はっきりした返事が返ってまいりません。つまり、要領を得ないのであります。あまつさえ、いかにも不機嫌そうなようすさえ見せることもありました。それなのに、佳代さんとどうこうというような言葉もそぶりも、まったく見せないのであります。
なんだ、へんなやつだなと思っていました矢先、不明のいたすところとは申せ、突然、お2人の結婚を打ち明けられ、唖然(あぜん)としたわけであります。だが、そうと知って改めて見直すと、このお2人が、相思相愛(そうしそうあい)の申し分のないカップルと見えてきますから、まことに不思議なものでございます。
南さんには、結婚後もお仕事を続けられる由、お2人の相思相愛ぶりについては、これからは当分、作業日誌でもつけてじっくり報告いたさせる所存でおりますので、ご両人、覚悟していただきたい。
どうかご夫婦で競って、幸せな家庭を築かれますように。また、会社の業績向上のためにも、努力なさるようお願い申し添えます。
おめでとうございました。