ただいま、ご紹介にあずかりました、新婦の叔父の中沢でございます。本日はご多用中のところ、遠路お運びいただき、新郎・新婦の前途に多大な祝福をいただきましたこと、まことにありがとうございます。また、ご媒酌の労をおとりくださいました杉山さまご夫妻にも、心から厚くお礼申し上げます。
先ほど、ご紹介がありましたように、恵子は私の兄夫婦にとりましては、一人娘でありまして、兄夫婦、とりわけ兄は、花嫁の父としてまさに掌中之珠(しょうちゅうのたま)を手離すという、喜びのうちにも複雑な思いをかみしめていることかと思われます。
恵子ちゃん、ほんとうにおめでとう。恵子ちゃんを今日までりっぱに育ててくれたお父さん、お母さんの深い愛情に報いるためにも、俊二くんと2人、力を合わせてすばらしい家庭を築いていってください。
月並みのようですが、それが、お父さんやお母さんがいちばん喜ばれることだということを、叔父さんはよく知っています。なにしろ、恵子ちゃんがまだよちよち歩きのころから、2人は寄ると触るときみの話ばかり。幼稚園のころ、小学校、中学校、そして高校・大学時代と、そのおりおり、そのときどきのきみの育ちぐあいを、私たちはよく聞かされました。それはかりに恵子ちゃんと会う機会の少ない者にすらわかるくらいでした。きみの両親は、わが娘のことを、世間体も考えずに、心配したり喜んだり、ときに自慢したりしていて、そのようすが私たちに手にとるように伝わってきたものです。
このことはまず、きみ自身がいちばんよく知っていることだと思います。今日、こうして叔父がみなさまの前で、身内の少々度はずれたかわいがりようをご披露してしまったからは、きみたちが幸せになるようにというお父さん、お母さんの願いをぜひかなえてあげてほしいと思います。これは俊二さんにも、この際しっかりとお願いしておきます。
蛇足ながら、恵子の両親は決して娘を手放しでねこかわいがりしたり、放縦に育てたり、自慢ばかりしたりするようなことはなく、厳しさを含めて、温かく見守り育ててきたことを、2人の名誉のためにも申し添えさせていただきます。
ご出席のみなさまには、若い2人を今後とも、よろしくお導きくださいますよう、お願い申し上げます。