大沢くん、早苗さん、本日はおめでとうございます。
私は、大沢くんとは同期に入社いたしました高橋裕二と申します。早苗さんは3年後輩になるわけですが、その入社の直後から、なぜかわれわれ3人、たいへん気が合いまして、よくいっしょに食べ歩いたり、飲みにいったりしたものです。
しかし、半年くらいたったころから、大沢くんと早苗さんが急接近し、私はなんとなくじゃま者のような感じになってきました。本来ならば、少しはかちんときて、2人の間に割り込んでやろうかと思ってもしかるべきところですが、どういうわけかわかりませんが、この2人、じつにいいムードなのですね。それで私も、まあ仕方ないかというような気になりました。
大沢くんは、一見なにを考えているのかというような、ヌーボーとした男のようですが、仕事には決して手抜きをしない堅実な人間です。また、早苗さんと親しくなってからも、必ず私にも声をかけて誘ってくれるのですが、正直なところ、2人の仲に気づいてからは、少々重荷というか、ありがた迷惑、失礼な気もしたのですが、そんな律義なところのある男性であります。
一方の早苗さんは、口には出さずにそれとなく私に気をつかって、申しわけなさそうなそぶりを見せてくれる女性でして、この両面攻撃にあい、いつのまにか、なんとなく、私もこの2人の仲を認めざるをえないようなはめになっていったわけであります。
それから2年、職場での2人はまさに静かに潜行し、今日の結婚式を迎えられることになりました。さぞ、お2人ともにこの日を一日千秋(いちにちせんしゅう)の思いで待たれたことと思います。はたで気をもんでいた者として、ほっとしつつ、心からお祝いの言葉を送りたいと思います。
今後は、友人たちに広く門戸を開く、開放的な温かい家庭を築いていかれますようにお願いいたします。
おめでとうございました。