康夫くん、良子さん、本日はおめでとう。
私は、康夫くんとは高校時代の同級生で石原と申します。康夫くんは一見、温和な性格のようですが、昔を知る者としては、彼の内面には、かたい芯(しん)のようなものがあって、人によってはこれを頑固一徹(がんこいってつ)とも申しますが、ひょうひょうとしているようで決して自分を曲げない強さのある人間だと私は理解しています。
結婚は、私のほうが5年も先輩になるわけで、ひと言、気のきいた感慨でも申し上げたいのですが、口べたなものですから、今もすっかり上がっているしだいであります。
いえることと申せば、結婚生活は堅忍不抜(けんにんふばつ)、平たくいうと忍の一字、これあるのみだと思います。
康夫くんと良子さんが深く愛し合っていることは、かねがね康夫くんからの中間報告にて、耳にたこができるほどよく存じていますが、諸先達を前にして口はばったい言い方で恐縮ですが、どんなに愛し合った仲とはいえ、2人がお互いをいっそうよりよく理解し合うのは、今日をもって始まりだと思います。
私ごとで申しますと、思いもしなかった相手の一面に触れ、喜んだり、とまどったり、ときには腹立たしく感じたりすることがありました。
知らなかったうれしい一面を見るのは、これ、問題になりませんが、ざっくばらんにいって、あまり歓迎しかねる一面に接するような場合は、どうかこの堅忍不抜の言葉を思い出して、より深い理解のために辛抱してください。
お2人が、耐えるべきは耐え、幸せな家庭を築いていってくださるように願ってやみません。
おめでとうございました。康夫くん。