仏教でいう八苦の一つで、別離の苦しみのこと。愛する者同士でもいつかは別れがやってくる、この世で出会った者同士もいずれは別れて離れ離れになる運命が待ち受けているという意味。とくに親、兄弟、夫婦など大切な人との別れの悲しさ苦しさを表すのにいう。
『法華経(ほけきょう)―譬喩品』に、「愛別離苦、是故会者定離」とあり、また、『往生要集(おうじょうようしゅう)―大文二』に、「心事相応、無二愛別離苦一」と記されている。
〔例〕「こんなに愛しているのに、突然死んでしまうなんて。愛別離苦というけれど、わたしもいっしょに死んでしまいたい」などのように、主に親しい人を亡くした悲しみ苦しみを表現していうのに使う。