悲惨な状況におちいって叫び苦しむようす。また、そんな状況になって、救いを求めること。「阿鼻」は、無間(むけん)地獄(じごく)をさし、「叫喚」は、大きな声でわめき叫ぶこと。無間地獄は、仏教でいう八大地獄の一つで、極悪の罪人が送られるところ。無間というのは、苦しみを間断なく受けて、ひとときも楽がないこと。
〔例〕非常にむごたらしいようすで、地獄さながらの状態を表すのに、「阿鼻叫喚の巷」という言葉を使って、「折からの強風にあおられて、人家の密集する駅前で発生した火事は、あっという間に十数軒の商店などを焼き尽くし、あたり一帯は阿鼻叫喚の巷と化した」などという。また、「彼は、良子さんとの結婚が決まっていたのに、急に破談になるし、結婚費用を調達するためにむだな借金を背負いこんでしまったし、まさに阿鼻叫喚のありさまだ」などと使う。