蛙(かえる)や蝉(せみ)がやかましく鳴き立てていること。転じて、大げさで内容のない文章や、うるさいだけで実りのない議論のことをいう。「噪」は、やかましい、さわがしいという意味。
『儲欣(ちょきん)―平淮西碑・唐宋八家文評』に、「段文昌以二駢四儷六、蛙鳴蝉噪之音一、易二鈞天之奏一、直不レ知三人間有二羞恥事一」と記されている。儲欣は、清代、宜興の人で、字(あざな)は同人。
〔例〕むだな議論や下手な文章などをあざけっていうときに、「今までの企画会議は、現実的な話が少しも出なくて、貴重な時間がむだづかいでしかなく、まったく蛙鳴蝉噪を地で行っているようなありさまだ」といったり、「吉田くんの論文は、タイトルはいつも斬新なのだが、中味は蛙鳴蝉噪でつまらない。本気で相手にする研究者はほとんどいません」などと使ったりする。
〔類〕蛙鳴雀噪(あめいじゃくそう)、蝉噪蛙鳴(せんそうあめい)