融通のきかない堅物。頭がかたいきまじめな人。男女の間の色恋を理解できない人。石と金という二つのかたいものを重ね合わせて、人名のようにした語。「石部金吉金兜(かなかぶと)」は、さらに極端な堅物をさしていう。
江戸時代の浮世草子の一つである『世間妾形気(せけんてかけかたぎ)』に、「いまだ四十に足らぬ人物なれども物堅きこと石部金吉にて、忠義専らの武士」とあり、また、歌舞伎の『五大力恋緘(ごだいりきこいのふうじめ)―一幕』に、「菊野さんは評判の石部金吉、これ迄方々のお客が、色々と言うてぢゃけれど、其方は大嫌でござります」とある。
〔例〕「川田くんは、酒もタバコもだめだし、賭け事も浮気も一切しないため、石部金吉と呼ばれています」などと、少々からかうような気持ちをこめて使うことが多い。