文字や文章がたいへんにすばらしく、1字だけでも千金の価値があること。詩文などの表現や筆跡などがきわめてすぐれていることをたとえていう。呂不韋(りょふい)が書を表したとき、咸陽の市門に賞金とともに掲げて、「一字でも直すことができるならば、この千金を与えてもよい」といった『史記(しき)―呂不韋伝』にある故事から。
人形浄瑠璃の『菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)―四』に、「一字千金、二千金、三千世界の宝ぞと、教える人に習ふ子の」と記される例もある。
〔例〕「磨きぬかれた珠玉のような彼の詩は、まさに一字千金の重みをもって、わたしたちの胸に迫ってきます」というように使う。