汁が1種類とおかずが1種類の食事。飯はついているが、汁とおかずが1品ずつの質素な食事。粗末な食事のたとえ。「菜」は、副食物、惣菜という意味。
江戸時代初期の軍学書である『甲陽軍鑑(こうようぐんかん)―品十三』に、「一、饗応、大身小身共に一汁一菜の事」とある。『甲陽軍鑑』は、武田信玄・勝頼の2代にわたる事跡を記したもので、高坂昌信の遺稿を小幡景憲がまとめたといわれている。
〔例〕「日ごろから一汁一菜を励行して、華美なところがない大石さんはみんなに長老として慕われています」とか、「3度の食事を一汁一菜にして、簡素な暮らしを心掛けよう」などと使ったりする。ぜいたくを戒める場合などによく使われる。
〔対〕三汁九菜(さんじゅうきゅうさい)