多くの生き物を救うために、害となっているものを一つ殺すこと。1人の人を殺すことによって、多くの人を救うことができるという仏教で用いられる思想。多くの人を生かすためには、1人の人を犠牲にしてもやむをえないという考え方。「いっさつたしょう」とも読む。
『報恩経(ほうおんきょう)』『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』などに見られ、また、謡曲の『鵜飼(うかい)』に、「又ある夜忍び上って鵜を使ふ。狙ふ人々ばっと寄り、一殺多生の理にまかせ、かれを殺せと言ひあへり」とある。
〔例〕「店長を解雇したのは、一殺多生、組織の活性化を図る必要があったからです」などと使う。