得もあるが、その一方では損もあること。利益にもなるが損失もともなっていること。都合のよい点もあれば、悪い点もあること。
宋の臨済宗の僧である無門慧開が著した禅書『無門関(むもんかん)―二僧巻簾』に、「時有二二僧一、同去巻レ簾、眼曰、一得一失」とある。また、曹洞宗の根本経典で、道元が著した『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)―洗面』に、「日本国は(略)ともに嚼楊枝、漱口の法を忘れず、しかあれども洗面せず、一得一失なり」と記されている。
〔例〕ある物事が、どちらにもよい状態になりにくいものだという意味をこめて、「事務機器の自動化が進み、作業時間が短縮されたが、その分人員整理にもあい、社員にとっては一得一失であった」などと使う。
〔類〕一長一短(いっちょういったん)/一利一害(いちりいちがい)