ていねいすぎることで、かえって無礼を感じさせること。表向きはていねいでも、実質は傲慢(ごうまん)であること。「慇懃」は、礼儀正しいこと、きわめてていねいという意味。「無礼」は、礼儀にはずれることをいう。
〔例〕礼儀にもおのずから程度があるということを表し、そのような態度に接したときにたしなめたり、忠告したりする場合などにも使い、「あまりへり下った言い方をすると、かえって慇懃無礼になる」などという。
〔類〕慇懃尾籠(いんぎんびろう)
――「尾籠」は、礼を失すること、失礼という意味。「慇懃尾籠」は、安土桃山時代の武将で歌人である細川幽斎が著した『聞書全集(ききがきぜんしゅう)―五』に、「卑下過ぎたる詞は、かへりて慇懃尾籠になるなり」と記されている例がある。