仏教思想で、出会った人とは、必ず別れる運命にあるものだということ、世の中は無常なものであるということをたとえていう。「定」は、必ず、きっとそうであるという意味。
『平家物語(へいけものがたり)―十』にある「生者必滅、会者定離はうき世の習にて候也」の一節はよく知られている。また、『遺教経(いきょうぎょう)』にある「世皆無レ常、会必有レ離」などから出た言葉。
〔例〕「主人の転勤で今月末で引っ越します。会者定離の習いといいますが、せっかくいいお友達ができて喜んでいたのに残念です」などと使う。また、送別の言葉として、「小森くんとは入社以来15年間、同じ営業3課で机を並べて仕事を進めてまいりました。このたびはご栄転であるとはいえ、小森くんが遠くヨーロッパに転任されていくことは、離れがたい気持ちでいっぱいであります。しかし、仏教の言葉に、会者定離とありますように、出会った者とは必ず別れるときが来るし、また、人の出会いと別れとは天の定めであるともいわれています。お別れは悲しいのでありますが、これも天の定め、これからの小森くんのいっそうのご活躍を心からお祈りして、お別れの言葉としたいと思います」などと使う。