鉛の刀は1度使ったら切れなくなるということから、1度くらいはうまくさばくことはできるが、それ以上はのぞむべくもないという意味で、1度以上用いることのできないことのたとえ。自分の力量を謙遜(けんそん)していうこともある。
『左思(さし)―詠史』に、「鉛刀貴二一割一、夢想騁二良図一」とあり、また、『後漢書(ごかんじょ)―陳亀伝』に、「至三臣頑駑器、無二鉛力一割之用一、過受二国恩一、栄秩兼優」とある。
〔例〕大役を任命されたときのあいさつなどで、「同窓会の副会長というような大役をおおせつけられましたが、わたしのような者は鉛刀一割で、みなさんのお役には立たないと思います。しかし、精いっぱいがんばるつもりでおりますので、みなさんのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします」というように使う。