中国の春秋時代の呉王夫差(ふさ)は、父親を殺された恨みから、薪(たきぎ)の上に寝てわが身を痛めつけて、その恨みを忘れまいとし、やがて、仇敵の越王勾践(こうせん)を降伏させた。一方、夫差に敗れた勾践は、にがい胆(きも)をなめては敗北の恨みを忘れず、ついには夫差を破ることができたという故事から、仇をうったり目的を達したりするためには、あらゆる苦難に耐え苦労をすることをたとえていう。
『史記(しき)―越世記』や『呉越春秋(ごえつしゅんじゅう)』などに記されている故事による。
〔例〕「合併の憂き目にあい、支店長の座を追われたが、臥薪嘗胆の努力の結果、返り咲くことができた」とか、「大型店が進出してきたため閉店することになったが、臥薪嘗胆、修業をしなおして、技術を売りものにできる店として再起するつもりだ」などのように使う。