靴の上からかゆい足を掻(か)くという意味から、思いどおりに物事が進まず、歯がゆくていらいらするようす。また、物事の徹底しないことをいう。「靴を隔てて痒(かゆ)きを掻(か)く」とも読み下す。
『続伝灯録(ぞくでんとうろく)』に、「上レ堂更或括レ帚敲レ牀、大似二隔レ靴掻一レ痒」とあり、また、『徂徠集(そらいしゅう)―訳文筌蹄・題言十則』にも記述がある。
〔例〕「赤字経営から脱け出すには抜本的な策が必要と思うが、経営陣の立てた対応策は問題を先送りにするだけの弱腰なもので、隔靴掻痒の思いがする」などのように使ったりする。
〔対〕麻姑掻痒(まこそうよう)
――「麻姑」は、中国の伝説上の仙女の名で、その爪はまるで鳥のように長かったという。かゆいところはどこにでも届いて、ここちよい。物事が思いのままに運ぶようす。