中国の伝説上の天子である堯(ぎょう)が譲ろうとした天子の位を退けて、箕山にこもって修行を積んだという伝説上の高士である許由(きょゆう)の故事から、世俗にまみれずに隠遁生活を送ること。節操を守って役人になろうとしないこと。「箕山」は、河南省にある山の名。許由と同じように巣父(そうほ)も天子の位を拒絶して、牛を引いて帰ったとされ、「許由巣父」で栄貴を嫌うことをさしていう。
『漢書(かんじょ)―鮑宣伝』に、「堯舜在レ上、下有二巣由一。今明主方隆二唐虞之徳一、小臣欲レ守二箕山之節一也」とある。
〔例〕「内山さんをわが社の顧問に迎えようと、なんども要請しましたが、同氏は箕山之節を固く守り、断念せざるを得ませんでした」などと使う。
〔類〕箕山之志(きざんのこころざし)