愚か者でもたまには役立つような名案を出すこともあるという意味。人それぞれに応じて社会に役立つことができることをたとえていう。「愚者も千慮に一得有り」を略したもの。「ぐしゃにもいっとく」とも読む。
「智者一失(ちしゃのいっしつ)愚者一得」と使うことも多く、『史記(しき)―淮陰侯伝』に、「臣聞、智者千慮必有二一失一、愚者千慮必有二一得一。故曰、狂夫之言、聖人択レ焉」とある。
〔例〕忠告をするときなどに、「愚者一得ということもあるので、人の上に立つ者は広く意見を聞く耳をもたなければいけない」と使ったり、「別紙にて、この案についての私見を述べさせていただきました。愚者一得ということもございます」などと使ったりする。