周りじゅうが敵であり孤立していること。多くの敵の中で孤立していて助けのないこと。転じて、周りが反対者ばかりで、味方のいない孤立した状態のことをいう。楚の国の項羽(こうう)が漢の高祖に包囲されたときのこと。高祖は一計をめぐらせて、漢の軍勢に楚の歌をうたわせた。それを聞いた楚の軍勢は、包囲している敵の軍勢の中に、降伏した自分の国の人々がいるのだと錯覚して心を乱した。その結果、項羽の率いる楚軍は敗退してしまったという故事から。
『史記(しき)―項羽本紀』に、「夜聞二漢軍四面皆楚歌一、項王乃大驚曰、漢皆已得レ楚乎、是何楚人之多也」とある。
〔例〕「考えてみればおれの家族は、女房と娘ふたり。男はおれだけだもんな。なにかあるとすぐ、女は団結するだろう。家に帰れば、四面楚歌。まったくおれはかわいそうだ」というように使う。