舟の上のような生死を一つにするところであっても、心変わりして敵になることがあるという意味から、運命をともにするような間柄でも、敵になることがあるということ。転じて、近親や味方の中にも、敵にまわるものがあることをたとえていう。「舟中も敵国」という形で使うことが多い。
『史記(しき)―呉起伝』に、「若君不レ修レ徳、舟中之人尽為二敵国一也」とある。
〔例〕「自分の信頼していた部下に裏切られるなんて、まったく舟中敵国で、油断もすきもない」といったり、「大学時代からの親友だったのに、最近の中島と高山は口もきかない。しかし、次期係長候補のライバル同士となれば、無理もないな。舟中敵国、どんなに親しい間でも争わなければならないこともある」などのように使う。