長い間、貧しい生活をともにし、苦労をともにしてきた妻。「糟」は酒かす、「糠」は米ぬかの意味。粗末な食べ物のことをいう。「糟糠の妻は堂(どう)より下(くだ)さず」(貧しい時代から暮らしをともにしてきた妻は、出世したからといって家から追い出すことはできないという意味)から。
『後漢書(ごかんじょ)―宋弘伝』に、「困謂レ弘曰、諺言、貴易レ交、富易レ妻、人情乎。弘曰、臣聞、貧賤之知不レ可レ忘、糟糠之妻不レ下レ堂」とある。
〔例〕銀婚式などのスピーチで、「わたしは彼とは、学生時代からの友人でありますので、新婚時代の暮らしぶりもつぶさに見て知っております。あの貧乏時代をみごとに乗り切って、彼が今日の地位を得ることができたのも、ひとえに糟糠之妻、この奥さまがあったればこそといえます」というように使ったりする。