人などを見抜く眼力のある人から、才能を認められて知遇を得ること。上役などに認められて、才能を発揮する機会を得ること。「伯楽」は、馬を見分ける名人のことで、昔、馬を市に売りに出していた男が、売れずに困ったあげく一計を案じた。伯楽に頼んで、まず、市に入るとすぐ、その馬をよく観察し、出ていく際にもう1度振り返って馬を見てもらった。そんな伯楽のようすを見ていた人々は、その馬を名馬だと信じて、たちまち、馬の値は10倍にはね上がったという故事による。
『戦国策(せんごくさく)―燕策』に、「往見二伯楽一曰、臣有二駿馬一欲レ売レ之、比二三旦一立二於市一、人莫二与言一。願子還而視レ之、去而顧レ之。臣請献二一朝之賈一。伯楽乃還視レ之、去而顧レ之。一旦而馬価十倍」とあり、『後漢書(ごかんじょ)―隗囂伝』にも記述がある。
〔例〕「伯楽一顧によって、課長に抜擢(ばってき)された」とか、「高校のころ、学校のグラウンドで練習していたとき、プロ野球の監督の伯楽一顧を得て選手になれた」などと使ったりする。