中国の春秋時代に、魯の尾生が女性と約束して、橋の下で待っていたが女性は現れず、大雨で川が氾濫したが、尾生はなお約束を守り、ついには溺死してしまったという『荘子(そうし)―盗跖』や『戦国策(せんごくさく)―燕策・昭王』などにある故事から、信義をかたく守ること。また、融通のきかない正直いちずな者をたとえていう。
『淮南子(えなんじ)―説林訓』に、「尾生之信、不レ如二随牛之誕一」と記されている。
〔例〕「尾生之信のような、融通がきかずひたすら正直である男は、いつまでたってもうだつが上がらない」などのように使う。
〔類〕抱柱之信(ほうちゅうのしん)