俗世間から遠く離れた別天地。陶淵明の『桃花源記(とうかげんき)』の中にある理想郷。晋の太元年間、武陵の漁師が川をのぼっていくと桃の林にたどりついた。さらに行くと、水源があって山に小穴があった。そこを通り抜けたところに、秦の乱を避けて逃れきた人々が平和な暮らしを送っている村があったという故事による。「桃源」「桃源郷」ともいう。
〔例〕「武陵桃源の故郷も、開発の波には勝てなかった」とか、「わたしの故郷は、山の中の寒村ですが、美しいミズバショウで知られ、そこに住む人々の心は、やさしくおだやかです。さながら武陵桃源のおもむきのあるところです」などと使う。