人・モノ・サービス・お金の動きなどに代表される経済活動全般を分析する社会科学の一分野。近年では、一見すると経済活動とは直接関係がなさそうなもの、例えば犯罪や教育、恋愛、環境問題、国際交渉、さらには人間の脳の働きに至るまでも経済学の研究対象となっている。伝統的に、「希少な資源をいかに有効利用するかについて分析する学問分野」という風に、資源配分に焦点をあてて定義される場合が多かったが、現在では「人々のインセンティブの働きについて分析する学問分野」といったより広い定義がとられることもある。
分析対象の範囲に応じて、ミクロ経済学(microeconomics)とマクロ経済学(macroeconomics)という二つの分野に大きく分かれている。ミクロ経済学では、個々の家計や企業がどのように意思決定を行い、それが市場や制度を通じてどのような影響をもたらすのかを研究する一方で、マクロ経済学では、インフレーションや失業、景気循環など経済全体の現象について研究する。近年ではマクロ経済学においても、ミクロレベルの意思決定にもとづいた分析が行われる場合が多く(これをマクロ経済学のミクロ的基礎付け〈micro-foundation〉と呼ぶ)、両者の間で分析手法上の違いはほとんど無くなってきている。
経済学の分析上の特徴としては、一定の仮定を置きそこから論理的な推論によって結論を導く演繹的アプローチによって、理論研究がもっぱら行われる点が挙げられる。また、現実が「どうなっているのか」を説明する事実解明的分析(positive analysis ; descriptive analysis)と、理想的に「どうあるべきか」を検討する規範的分析(normative analysis)が明確に区別されている。