政府が支出を増やすことによって、民間の投資が抑制されてしまうことをクラウディング・アウトと言う。この名称は、民間投資が政府によって押し出される(crowd out される)ように見えることに由来する。政府が資金調達のために国債を大量に発行すると市中金利が上昇して民間の資金需要を抑制する、という経路を通じて主に発生する。国内での総投資額が決まっているため、政府支出の増大は常に同額(つまり100%)のクラウディング・アウトをもたらすと考えた古典派経済学(classical economics)に対して、ケインズ経済学(Keynesian economics)では、遊休設備の存在する状況ではクラウディング・アウトの効果が弱まると考えた。現実には、この効果は様々な要因によって影響を受ける。クラウディング・アウト効果が強ければ強いほど財政政策(fiscal policy)の有効性が低下する。