経済成長の要因を資本、労働という2種類の代表的な投入要素の増大、および技術進歩の3つに分解して分析する手法。新古典派経済学(neo-classical economics)の代表的な成長理論であるソロー=スワン成長モデル(Solow-Swan growth model)に基づく。技術進歩は、経済成長に対する資本と労働の寄与で説明できなかった残差として求められることから、ソロー残差(Solowresidual)、あるいは全要素生産性(TFP ; total factor productivity)と呼ばれる。成長会計におけるTFPは、あくまでベンチマークとなる理論が正しいという前提のもとで技術進歩に一致するだけで、実際にはモデルが適切に考慮することのできない変数の動きや制度や法律面の変更など、様々な要素によって影響を受ける、という点に注意が必要である。ソロー=スワン成長モデルでは技術進歩は外生的に与えられているが、これをモデルの中に組み込み、内生的に技術進歩が発生するように拡張した理論を内生的成長理論(endogenous growth theory)と言う。この分野は、1980年代にポール・ローマー(Paul M. Romer 1955~)などの貢献によって大きく花開いた。87年には、経済成長理論への一連の業績が評価されて、ロバート・ソロー(Robert M. Solow 1924~)がノーベル経済学賞を受賞した。