労働市場において、企業が求める人材と求職者の資質が合致しないミスマッチによって生じる失業を指す。産業構造の変化に伴って、衰退産業から成長産業へ労働者の移動が必要となった場合などに典型的に発生する。求人情報が求職者にすぐには伝わらないため職探しに時間や手間がかかる、という情報の不完全性がもたらす失業は、構造的失業と区別して摩擦的失業(frictional unemployment)と呼ばれる。構造的失業が長期的な現象であるのに対して、摩擦的失業は短期、あるいは過渡期的であるが、現実のデータから両者を区別することは難しい。労働市場の職探しのように、何らかのコストをかけて取引相手を見つけなければならない状況を分析するために使われる代表的な理論にサーチ理論(search theory)がある。2010年のノーベル経済学賞は、サーチ理論の開発と労働市場分析への応用に貢献したピーター・ダイヤモンド(Peter A. Diamond 1940~)、デール・モルテンセン(Dale T. Mortensen 1939~2014)、クリストファー・ピサリデス(Christpher A. Pissarides 1948~)の3氏に贈られた。