一国の経済規模を測る指標。GDPは、誰の経済行動であれ一国の領土内で生み出された価値を合計しているのに対して、GNPは、一国に所属する国民によって生み出された価値を合計する。ただし、この場合の国民とは、国籍の有無によってではなく、6カ月以上居住しているか否かで判断される。例えば、日本企業の海外の現地法人での活動はGDPには含まれないが、GNPには含まれる。日本では1993年より、国内の経済変動を正確に把握できるとして、それ以前のGNP中心からGDP中心へ変更した経緯がある。内閣府の「国民経済計算」の仕組みの中でもGNPの用語が消え、今ではGNI(Gross National Income 国民総所得)としてGNPの統計が得られる。2007年度の名目額で比較すると、GDP516兆円に対してGNP533兆円とGNPの方が約17兆円大きい。この大部分は、過去の海外への投資からの収益である。少子高齢社会を迎え、海外を含めた資本・労働力の配分が重視される中で、両者の乖離(かいり)額は拡大傾向にあり、再びGNPをベースにした経済政策を考慮すべきだとの声が高まってきている。