一つの国で承認された特許が他の国でも自動的に承認される仕組み。特許とは、新しく有用な技術を開発した人に対して、内容の公開と引き換えに一定期間独占的に使える権利を国が認めること。特許を求める人から出願を受けた特許庁は、同様の技術が既にないか、従来のものより格段に優れているかなどを審査し、特許を認めるかどうかを判断する。特許の効力は、特許が認められた国内に限られ、企業や研究者は新技術を使う可能性がある国ごとに特許を取得する必要があり、手間と負担がかかる。日本やヨーロッパは、先に出願した人に権利を認める「先願主義」を採用しているが、アメリカでは先に発明した人に権利を与える「先発明主義」を採っている。このため、先に出願した人がいても、後から「私の方が先に発明した」と主張する人が現れて訴訟になる可能性があった。そこで、日米欧などの特許当局が審査業務の効率化や特許制度の統一に向けて議論を重ね、アメリカも含めて先願主義に一本化することや、審査基準の共通化、出願内容の公開ルールの統一、出願様式の統一、審査結果の相互利用開始などについて2006年11月に大筋で一致した。「世界特許」に向けて一歩前進したと言える。