年金制度には、(1)全国民を対象とする単一制度と、(2)特定の被用者または就業者を対象とする制度がある。(1)は拠出や給付が画一的になり、集団ごとの要望には応えづらい。このため制度を採用する国々では、報酬比例や加入期間に応じた年金を支給する制度を導入するなどの工夫がなされている。一方、(2)の場合、集団ごとの要望には応えられるものの制度間の格差が問題とされている。日本では、基礎年金と呼ばれる全国民を対象とする単一制度の上に、職種ごとに異なる年金制度がある。しかし、原則1階建ての基礎年金部分だけの「国民年金」と、それに加えて2階建て部分のある「厚生年金」や「共済年金」との間で、さらには後者の間でもサラリーマンなどの「厚生年金」と公務員などの「共済年金」の間で、それぞれ制度間の格差が存在する。これらの格差を一挙に解消するのは年金間の利害対立が大きいことから、とりあえず「厚生年金」と「共済年金」を一元化する基本方針が2006年4月に閣議決定され、保険料率を18年に統一し、給付水準での年金間の格差を是正することになっている。