企業内部の意思決定や経営監視の仕組みを整備し、株主の利益を最大化させるための企業経営のチェック体制を構築すること。関西電力の原発事故、三菱自動車製大型車のタイヤ脱落事故とリコール隠し、西武鉄道による総会屋への利益供与事件など、製造業の事故や企業不祥事が相次ぎ、企業ガバナンスのあり方が問われている。また、製造業で事故が多発しているのは、経費節約の指示に対して、現場での対応として短期的に影響が出にくい機械設備のメンテナンスにかかわる支出を削った影響が指摘されている。IT関連設備の更新は早まっている半面、従来型の機械設備の更新が遅れ老朽化している可能性もある。機械設備のメンテナンスに必要な熟練労働者を、リストラ策の一環として安易に解雇ないし転籍させてしまったつけとの見方もある。不祥事の発覚に際しても、短期的な利潤を増やすために長期的な信頼を失う選択を行ってしまった場合が多い。2004年5月、日本経団連は、会員企業の行動指針である企業行動憲章を、社会的な公正さや環境経営など、企業の社会的責任(CSR Corporate Social Responsibility)を重視した内容に改定した。CSRとは、企業が、株主や取引先だけでなく、従業員、消費者、地域社会など多様な利害関係者に対して社会的責任を果たすこと。リスク回避やイメージ向上につながる企業戦略上の重要な要素として、欧米の企業を中心に発展し、日本でも、経済産業省でCSRの規格化や法制化に向けた動きがある。