商法や有限会社法などを再編、統一した法律。2005年6月成立、06年5月に施行。1994年の自社株買い解禁、97年のストックオプション制度の導入などを経て、商法改正による規制緩和の集大成と位置付けられる。会社法の骨子は、(1)取締役会設置義務の撤廃、(2)最低資本金制度の廃止、(3)有限会社制度の廃止、(4)出資者が有限責任に基づきながら、運営方法・利益配分を柔軟に決めることができる合同会社という新たな会社形態の新設、(5)合併時に子会社への対価としての外国株の認可、(6)株主総会の決議なしで合併できる基準を、消滅会社の規模が存続会社の株式の20%以下までに緩和、(7)株主が不正な利益を目的に訴えた場合に裁判所が拒否、株主代表訴訟を制限可能、(8)公認会計士、税理士らが取締役と共同で財務諸表を作成する会計参与制度の創設、(9)敵対的買収への防衛策として、買収者の議決権比率を強制的に低下させるポイズンピル(毒薬条項)、譲渡制限を付けた拒否権付きの株式を発行する黄金株の認可等、多岐にわたる。(5)に関しては、外国企業が新設した日本子会社に親会社株を持たせ、これを対価にして別の日本企業と合併する三角合併を可能にすることから、ライブドアのニッポン放送株取得問題などを背景にして、外資に対する警戒感から1年間凍結され、2007年5月に施行された。この法律により、機動的な会社設立・組織再編が可能となり、経営者の責任・力量が問われることになる。また、旧商法の下で企業による株式持ち合いが一般化していた「日本型株式市場」から、経営者が株主と対等に渡り合う「欧米型株式市場」への転換が予想される。