権利の対象となる会社に新株を発行させるか、またはその会社の自己保有株式を移転させる権利。2002年4月に施行された改正商法により創設。株式を特定の価格で購入できる権利であるコール・オプションの一種で、新株予約権の所有者は、新株予約権を行使し、会社に新株を発行させるか、または自己保有株式を移転させることができる。ニッポン放送によるフジテレビジョンを割当先とする新株予約権の発行に対して、05年2月にライブドアが行った発行差し止めの仮処分の申請は、同年3月に、東京地裁、東京高裁とも、ニッポン放送による新株予約権の発行は、フジテレビジョンによる経営支配権確保が目的であり、不公正であるとして仮処分を認めた。とりわけ東京高裁は、経営支配権維持を目的として新株予約権の発行が正当化される条件を、以下の事例に対する防衛策の場合とした。(1)株価をつり上げて会社に引き取らせるグリーンメーラー、(2)知的財産権や企業秘密などの経営資源の移転を目的とする焦土化経営を行う目的の買収、(3)会社の資産を買収者らの債務返済などに流用する目的のLBO(leveraged buyout)などの買収、(4)不動産などの資産を切り売りする短期の高配当を狙った買収。07年8月には最高裁が、アメリカ系投資ファンドのスティール・パートナーズが、ブルドックソースの買収防衛策の発動差し止めを求めた仮処分申請に対して、スティールに対しては他の株主と内容の異なる新株予約権を与える内容のブルドックソースの防衛策を適法と認め、スティールの特別抗告と許可抗告を棄却した。