住民基本台帳ネットワークの略称で、2003年8月より本格稼働。居住関係を公証する住民基本台帳をネットワーク化したシステムで、導入により、インターネットを通じた各種申請や全国どこでも住民票の写しがとれるなど、行政面でのサービスが向上。また、将来的にはネット上での契約・商取引で、印鑑や署名に代わる公的個人認証の基盤となることが期待されている。また、住基ネット導入により、自治体では独自のサービスの提供を目指すところも出てきている。例えば、ボランティア活動などでためた地域通貨のポイントの増減を、ICチップの付いた住基カードなどに記録して地域で利用できるなど、サービスの拡充もみられる。他方、住基ネットの導入を巡っては、個人情報流出の懸念から、一部自治体が不参加の状態にあり、希望者のみの選択制の導入を目指す動きもある。05年5月には、個人情報保護の措置が確実に実施されるか疑問として、住基ネットからの個人の離脱を認める判決が金沢地裁で出されたが、08年3月には、住基ネットがプライバシー権の侵害に当たるとして争われていた訴訟の上告審判決で、最高裁が住基ネットを合憲とする判断を示している。