2008年10月30日、金融庁は株式の空売り規制を強化した。株式市場での空売りは機関投資家やヘッジファンドが多用してきたが、これには投資家が証券会社を通じて必要な株券を借りて売却する場合と、借り入れる株券の手当てのついていないまま売却する場合(ネーキッド・ショート・セリング naked short selling)とがある。新たに規制が導入されたのは後者を対象にしたもので、08年度内をめどに全面禁止となった。空売り規制としては、直前の市場価格以下での空売り禁止、売りつけに際し空売りであることの明示義務などの措置がすでにあった。日本での空売り規制は、サブプライムローン問題にからむ株価の急落を受けて、混乱した市場における規律回復が狙い。アメリカでは、08年7月に証券取引委員会(SEC)が連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を含む19の金融機関の株式を対象にした空売りを時限的に制限し、08年9月に対象を全上場銘柄に拡大した。イギリスでも、同月に時限的空売り規制が発動された。