1000円高速は、ETC(自動料金収受システム)を利用した高速道路の休日特別割引のこと。一部区間は対象外であるが、高速道路の料金が上限1000円とされた。民主党が掲げた高速道路無料化に対抗する形で、自公連立政権の麻生太郎内閣(当時)の下で2009年3月に導入されたが、休日の高速道路における渋滞が大規模化し、一般のトラック物流にも影響を与えた。また、自動車を利用した観光が増え、隣接する交通機関の利用者数の減少や、自動車利用の増加による環境面の悪化も問題とされたが、総じて国民には歓迎された。1000円高速導入以前には、高速道路は完工後その建設費用の償還が完了すれば無料化するとされていたが、他の高速道路の建設のため無料化が延期させられてきた経緯がある。政権交代を契機として見直しを検討してきた鳩山由紀夫内閣(当時)は、10年2月に、同年6月をめどに全国の高速道路37路線50区間を無料化すると発表。全国の高速道路延長の約18%に当たる1626キロが対象となり、ETC搭載の有無や車種にかかわらず、すべての車の通行が無料になる。高速道路無料化は、09年8月の総選挙時にも民主党がマニフェストに掲げた公約だったが、予算上の制約と渋滞や代替公共交通手段への配慮から、当面は「社会実験」として地方中心の限定的な無料化を図ることで落ち着いた。現行の1000円高速の割引制度は廃止されることから、国民負担の実質的な引き上げとの批判もあり、料金制度全体の見直しが課題として残された。